【借地】たった1つの確認で、地代の値上げが上手くなる

土地活用

こんにちは。愛知県岡崎市の不動産屋 さくらです。

今回は、土地活用されている地主さんから、地代の相談を受けたお話です。地主さん曰く、「地代を少しでも高くしたい。」という内容でした。

そもそも、値上げを要求するには、相手を納得させるだけの合理的な根拠が必要になります。漠然と地代の値上げ交渉をしても、なかなか上手くいきません。そこで、合理的な根拠を示すため、事前に1つ確認しておくことが大事になります。

 

それは、「相場と比較し、この土地の地代が安い」ことを客観的に証明することです。客観的とは、第3者が判断しても、明らかに地代が安いことが分かる状態のことです。

観客的に証明って・・・どうすれば良いのか分からない

地代とは

「相場と比較する」前に、そもそも地代(チダイ)について、簡単にご説明します。

地代とは、他人の土地を借りた者がその地主に支払う借地料のことです。

借地権と地代

土地を誰かに貸した場合は、その土地は「底地」の扱いになります。この時、地主さんは、”土地所有権”と”地代所有権”を有することなになりますが、”土地の利用権”は一時的に失います。

それに対し、土地を借りた借地人は、地代を支払う代わりに”借地権(土地の利用権)”が与えられます。

土地所有権とは、土地を所有する権利のことです。つまり、その土地の所有者になることです。それに対し、土地借地権とは、土地を一定期間だけ借り、利用する権利になります。

地代に消費税は必要なの?

地代には、消費税はかかりません(原則)。ただし、「不動産所得」に分類されるので、所得税はかかります。

但し、以下に該当する場合は、消費税がかかります。

  • 施設の利用を伴う土地の貸付けの場合(施設の利用を伴う土地とは、例えば、アスファルトや砂利が敷設されている一般の駐車場)
  • 貸付期間が1か月に満たない場合

相場と比較する

今回の本題である「相場と比較する」について、お話します。

地代の相場は、固定資産税と都市計画税を合わせた3倍程度の金額とよく言われています。

また、不動産鑑定士が地代を鑑定する時は、国が定めた「不動産鑑定評価基準の鑑定評価手法」を用います。鑑定評価手法は、積算法・取引事例比較法・収益分岐法があります。取引事例比較法と収益分岐法は、専門的な知識や情報がないと算出することができません。ただし、積算法であれば、専門的な知識がない人でも、実際の鑑定結果に近い地代を計算することができます。

今回は、公租公課倍率法積算法について、詳しくお話します。

公租公課倍率法

地代を決める際の目安で一番多いのは、固定資産税と都市計画税を合わせた金額に対し、倍率を掛けた公租公課倍率法があります。

地代 = 公租公課 × 倍率

公租公課とは、「固定資産税」「都市計画税」を指します。判例(東京高裁S59.6.20)では、公租公課倍率はおおむね2倍もないし3倍(商業地は3倍程度)とされています。
ただし、公租公課倍率法は、土地の利用方法(建物の用途)によって課税が変わるため、国が定めた不動産鑑定評価基準で採用されていない計算式になります。

積算法

不動産鑑定士が、合理的な地代の相場を算出する時に用いる手法の一つに、積算法があります。積算法は、更地価格に期待利回りを掛け、必要経費等を足した金額になります。

地代 = 更地価格 × 期待利回り + 必要経費等

今回は概算で計算します。必要経費等は公租公課(固定資産税、都市計画税)とします。期待利回りは、計算が複雑なので概算では2%で計算します。更地価格は、路線価×1.25で計算します。

地代の値上げ要求

地主さんは、地代増額の意思表示をおこないます。意思表示は、請求の内容をきちんと書面に記し、手紙で相手に通知します。

意思表示が完了したら、話し合い(協議)をおこないます。地主さんは、地代の相場を説明し、相手の合意が得られるように説得します。

折り合いがつかない場合は、調停へ

しかし、どうしても折り合いが付かないこともあります。その場合は、裁判所の調停制度を利用します。

調停とは、裁判官と民間の調停委員会が双方の事情を聞き、話し合いでの解決を目指す手続になります。

調停では、不動産鑑定評価基準に沿った鑑定書や、建物の賃貸借について定めた法律知識が必要です。ここより先は素人では難しく、専門家である土地家屋調査士や弁護士に依頼することが賢明であると言えます。

土地家屋調査士に鑑定調査書を依頼

調停で地代の増減額請求をする場合などは、正式な書類が必要となります。その場合は、専門家である不動産鑑定士に、鑑定評価書の作成を依頼します。費用は、約50万円かかります。

借家借地法という法律について

借地借家法という法律があります。借地借家法は、民法に規定された賃貸借契約の原則を現代社会の実状に合わせて修正したもになります。その借地借家法では、土地の賃料増減請求が認められるためには、

  1. 土地に対する租税その他の公課の増減により
  2. 土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により
  3. 近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったとき

が規定されています(借地借家法第11条第1項本文)。

借地借家法では、旧借地借家法と(現在の)借地借家法の2つに大きく分かれます。旧借地借家法は、借家人や借地人を保護するために、民法の規定を修正したり補った法律となるので、賃貸人にとっては不利な法律だと言われています。

「地代の相場。値上げ交渉の仕方」について、最後に

地代は、貸主さんと借主さんの話し合いで決められます。なので、相場とかけ離れていても、双方が納得していれば、特に問題ではありません(=民法の契約自由の原則)。

逆に、相手が納得していない状態では、合理的な根拠を示しても、交渉はなかなか上手くいきません。やはり、良好な関係を築くことが、一番大事なことかもしれません。

 

 

 

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有限会社 櫻井不動産
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